オホーツクの村/小清水自然と語る会



その村は、オホーツク海の近くの平野部にあります
その村には、森があります。森の中を静かに川が流れています
秋になると鮭や鱒が還ってくる川です
森のはずれの小さな人工湖は、水鳥が翼を休める湖です
森には小動物や昆虫など沢山の生きものが住んでいます
傷ついた生きものたちの診療所も建てられています
その村には、役場があります
その村には、村長さんもいます
その村は、人と野生の生きものの共存をめざす平和な村です

村のこと


「オホーツクの村」は、北海道東部の知床半島に近い小清水町の中にあります。

えっ!「町」の中に「村」? そうです。オホーツクの村は地図には載っていない村。でも、全国には、ここを自分の村にしているたくさんの村民がいます。オホーツクの村の誕生は、1981年までさかのぼります。

当時、小清水町内を流れてオホーツク海へ注ぐ止別川の河口近くの平野部に約23ha(69,000坪)の人工林がありました。

ヤチダモ、シラカバ、カラマツなどが植林されてから15年ほどの若い林でした。ある日、この林が土地ごと売りに出され、木を伐って畑にするという話が持ち上がりました。人工林とはいえ、その林にはキタキツネ、エゾリス、エゾモモンガ、たくさんんの野鳥などが暮らし始めていました。

「せっかく住み着いた生き物たちの平和な暮らしを、何とか守ることはできないか」地元の牛飼い、獣医、郵便局員、ユースホステルの経営者、農協職員などで構成されるグループが声を上げました。

それが、後に「オホーツクの村」の母体となる自然愛好家グループ「小清水自然と語る会」でした。

会はまず、全国にむけて会員募集の呼びかけを始めました。あわせて、この林を買い取るための基金を募りました。そしてこの小さな林をオホーツクの村と名付け、募金を寄せた人を村民として登録する事にしたのです。呼びかけには大きな反響がありました。純粋に民間の有志によって始められたこの試みを、マスコミも大きく報道しました。全国の多くの人がいだいていた「自然を大切にしたい」という思いが「小清水自然と語る会」に次々に届きはじめました。

こうして、畑になる寸前の人工林を「小清水自然と語る会」が買い取り、人と野生の生きものが共生・共存する試みが始まりました。

そして35年を越える年月が過ぎた今、若くて少し頼りなかった林は、もう立派な森になっています。

地続きの畑や草むらをいく度か買い足し、村は34.4ha(およそ東京ドーム7個分)の広さになりました。 オホーツクの村は、活動をはじめた頃に全国の会員・村民の夢を盛り込む形で「村づくりの基本構想」を作りました。森の成長とともに実現した夢はたくさんあります。森の中を楽しく安全に歩くことのできる散策路ができています。

水鳥が遊び、人がカヌーを浮かべて遊ぶこともできる小さな人工湖も造りました。木々の成長とともに生きものも増え続け、探鳥会や自然観察会が行われます。早春の森の恵みを楽しむ「白樺樹液試飲会」も恒例になっています。買い足した土地に村民・会員が植えた木々は、おおきく成長しています。全国の会員・村民が集まる「オホーツクの村まつり」は大いに盛り上がります。地元で生産される低農薬・低化学肥料野菜の産地直送も大事な活動資金になっています。

オホーツクの村では、誰かに強制されてやることは何一つありません。

 知恵のある人は、アイデアを。体力のある人は、汗を。物やお金を出せる人は、資金や資材を。それぞれが持ち寄れるものを持ち寄って、楽しみながら村づくりを進めています。はじめは、英国のナショナルトラスト運動をお手本に、人と野生の生きものが共存できるサンクチュアリ(聖域)をめざしたオホーツクの村ですが、創立20周年を期に新たなプログラムを加えました。それが「消費に見合う自然の復元と生産、そして啓蒙活動」というプログラムです。

 少しむずかしい言葉を使っていますが、つまり人は生きていくうえで衣食・住はもちろんレジャーの場としてなど、さまざまな形で自然を利用しているのだから、それに見合うだけの復元・生産してゆこうというものです。 

このプログラムには、オホーツクの村周辺の農業と農村を、安心・安全な循環型の食料生産の場として、さらに野外学習や人間教育の場として位置付けていこうという大きな目標があります。 オホーツクの村は、そのための拠点になることを目指しています。


オホーツクの村/小清水自然と語る会 

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小清水自然と語る会

○これまでの歩み  

1978年 ・母体となる小清水自然と語る会設立
1981年 ・創立 基金募集開始
1988年 ・環境省(旧環境庁)より自然環境保全法人認可
     (全国で二番目)
1989年 ・朝日森林文化賞受賞
     ・設計図に相当する「村づくりの基本構想」作成
     ・小清水町で開催されたナショナルトラスト全国大会の
      運営にかかわる
2000年 ・小清水町で開催された「第3回全国草原サミット」にNGOとして運営参加
2001年 ・創立20周年記念事業として村役場兼セミナーハウス
     (ログハウス)建設
2003年 ・自然環境功労賞 環境大臣表彰受賞
     ・小清水町町制施行50周年の記念式典で表彰される
2004年 ・創立メンバーのひとりでもある竹田津実
     (獣医/カメラマン/エッセイスト)元村長の著作が50冊
      になったのを記念して村役場に「竹田津文庫」を創設会
      員・村民併せて900名を越える
2014年 ・長年のエキノコックス対策活動に対し、北海道知事から
     「北海道社会貢献賞」授与
○所有地面積   34.4ha
○所有施設
  村役場(管理棟兼セミナーハウス)  136㎡
  水鳥リハビリセンター  18㎡
  鳥獣リハビリセンター  18㎡
  けんしょう庵
○交通アクセス
・JR釧網線浜小清水駅より3km
・女満別空港より 50km
・国道244号と国道391号の交差点から町道北1号を1km入る

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入村・入会について 

◎会員(入会費なし、年会費 3千円)

「小清水自然と語る会」へは、自然に関心のある方なら誰でも入会できます。会員になると、オホーツクの村の各種イベントにご参加いただけます。また年に数回、オホーツクの村の様子や会員・村民の動向を伝える「オホーツクの村新聞」をお届けします。なお、会員の方からいただく年会費は小清水自然と語る会の活動費として使わせていただきます。


◎村民登録(賛同登録費 一口2万円)

「小清水自然と語る会」の会員の中でオホーツクの村活動プログラムの趣旨にご賛同いただける個人および団体の方には「村民」として登録することができます。村民には登録証書を発行し、村の発展に寄与した証として村役場に村民の個人名または団体名を掲示させていただきます。賛同登録費はオホーツクの村活動プログラムの貴重な財源とさせていただきます。 なお、小清水自然と語る会およびオホーツクの村の運営は小清水自然と語る会の理事会とオホーツクの村村長が会員・村民の総意を反映する形で行います。

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